シス・カンパニー公演 ほんとうのハウンド警部
SIS company inc. のプロデュース作品のご紹介
はじめに…

2021年のシス・カンパニー公演は、春の日差しを待ちわびる3月に、Bunkamuraシアターコクーンでスタートいたします。もちろん、2021年も新型コロナウイルス感染予防対策を万全に講じ、今後の状況に注視しながら、スタッフ・キャスト一丸となって上演準備を進めて参ります。

その作品は?

さて、2021年第1弾公演として私たちが取り組むのは、英国演劇界の至宝トム・ストッパードの緻密な頭脳プレイが炸裂する戯曲『ほんとうのハウンド警部(原題:The Real Inspector Hound)』です。その荒唐無稽ともいえる発想の斬新さが生み出すカタルシスで、観客を劇空間の迷路深くへと誘い、<演劇ならではのイリュージョン>で魅了してきた巨匠ストッパードの世界!
シス・カンパニーでは、これまでも、19世紀と現代が美しく交錯し合った「アルカディア」(2016年栗山民也演出)、シェイクスピアの「ハムレット」に登場する脇役にスポットを当てた「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ(通称:ロズギル)」(2017年小川絵梨子演出)で、その世界観の醍醐味に迫ってきましたが、この度、「ロズギル」以来となるストッパード戯曲に向き合うことになりました。
何よりも、その「ロズギル」で互いに信頼を深め合った 生田斗真演出:小川絵梨子が再び顔を合わせ、現代劇作家の最高峰トム・ストッパードが放った精緻で巧妙、シュールともいえる世界に挑む ことに期待が高まります。そして、演劇ファンのみならず、思わず唸りたくなるのが、吉原光夫、趣里、 池谷のぶえ、鈴木浩介、峯村リエ、山崎一の、まさに「巧者(こうしゃ)」「強者(つわもの)」という表現が相応しい顔ぶれ!ただで さえ予測不能でスリリングな楽しさをもつストッパード戯曲への、最高の"贈り物"のようなメンバーです!
これは現実なのか?演劇がもたらす虚構のイリュージョンなのか? 
その狭間から7名の魅力溢れる役者陣が、どこか滑稽でシニカル、そしてシュールな世界へ皆さまを誘います!
演劇でしか味わえない、特別な空間にご期待ください!

本作『ほんとうのハウンド警部』は、音楽、アート、演劇などの英国カルチャーが活気づき、世界の注目を集めていた1968年、ロンドン・クライテリオン劇場にて初演。当時の観客の度肝を抜いた斬新な戯曲です。本作の設定は「劇場そのもの」。まずは劇場の客席に座る劇評家の会話から始まります。このシチュエーションは、ストッパード自身が、その昔、劇評家として活動していた経験からの発想と言われています。ブラックでシニカルなトーンで交わされる会話から、劇中の舞台上では、二人が観劇する芝居がスタートします。まるでアガサ・クリスティ作「ねずみとり」へのオマージュのような、オーソドックスな推理劇が静かに進行していきますが、やがて舞台上で展開するひとつの「推理劇」にはとどまらず、二重三重・・・と幾重にも張り巡らされた構造が目の前に…! 今、客席に座っている観客の目線さえも巻き込んだストッパードならではの知的な感覚が冴える、興奮の劇空間です!
ムーン(生田斗真)は、まだ二番手の地位に悶々としている若き劇評家。
今日もメイン劇評家に代わり、ある芝居を観に劇場へ。そこで他社のベテラン劇評家バートブート(吉原光夫)と一緒になる。どうやら、彼はこの芝居に出演している女優に気があるらしい。劇評家二人の胸に、さまざまな欲望や思惑が渦巻く中、その推理劇は始まった・・・。推理劇の登場人物(趣里、池谷のぶえ、鈴木浩介、峯村リエ、山崎一)たちによって演じられる三角関係、殺意、疑念の数々。。。それを劇評家の視点で見つめながらも、どんどん私的な雑念にとらわれていくムーンとバートブート。
やがて、舞台は幕間へ…。そして…。
1937年、チェコスロバキアのユダヤ人家庭に生まれる。第二次大戦中はナチスによるユダヤ人迫害の懸念から幼い頃に国外に逃れ、シンガポール、インドと転居。そこで父と死別し、インドで英国式教育を受ける。母親が英国陸軍少尉と再婚したのを機に、1946年英国へ移住。17歳で学業を終え、地方の新聞社を経て、フリーのジャーナリストとして活動する一方、テレビやラジオドラマの脚本、戯曲を執筆する。彼の出世作である『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』(2017年/小川絵梨子演出、生田斗真・菅田将暉出演で上演)は、1967年にロンドン・オールド・ヴィック劇場にて上演後、翌1968年にニューヨーク・ブロードウェイに進出。その年のトニー賞最優秀作品賞他、計4部門を受賞。彼の評価を決定付けた。その後も、『トラヴェスティーズ』、『リアル・シング』、『コースト・オブ・ユートピア』でトニー賞最優秀作品賞を受賞したほか、ノミネート作品も数多い。シス・カンパニーが2016年に日本初演を手がけた『アルカディア』は、1994年にローレンス・オリヴィエ賞最優秀作品賞を受賞。2002年にトニー賞を受賞した『コースト・オブ・ユートピア』は、日本では蜷川幸雄が演出を手がけ、9時間にも及ぶ上演時間の中に壮大な歴史観を織り込み観客を圧倒した。また、劇作のほか映画の脚本家としての評価も人気も高く、テリー・ギリアム監督『未来世紀ブラジル』(1985年)、スティーブン・スピールバーグ監督『太陽の帝国』(1987年)、自身で監督も手がけた『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』(1998年/ヴェネツイア国際映画祭金獅子賞受賞)などの他、ジョン・マッデン監督『恋におちたシェイクスピア』(1998年)では、アカデミー賞脚本賞を受賞。1978年には、英国王室よりCBE勲章を受章。1997年には、ナイト爵を授けられた。
コロナ禍直前の2020年1月25日、5年ぶりの新作『レオポルドシュタット』がロンドン・ウィンダム劇場で初演の幕を開けた。
この作品は、初めてストッパードが自分のルーツである「ユダヤ人」をテーマに、20世紀初頭からホロコーストを経た1955年までのユダヤ家族の歴史を描いた作品である。そこには彼の代名詞である言葉遊びや哲学的な比喩といった手法はほとんど使われず、ストレートに徹した語り口に驚きと賞賛の声が寄せられた。上演はロックダウンと共に打ち切られたが、見事に、この年のローレンス・オリヴィエ賞最優秀作品賞を受賞。83歳の大作家のあくなき創作への執念を印象付けた。

[ お問い合わせ ]
シス・カンパニー 03-5423-5906
(平日11:00〜19:00)
番号はお確かめの上、お間違えないようおかけください。