シス・カンパニー公演 人形の家 | |
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《公演概要》 |
ノルウェーが誇る『近代演劇の父』=ヘンリック・イプセンが、『人形の家』を発表したのは1879年のこと。
世紀末のヨーロッパにあって、「妻が夫と子供を置いて家を出る」という結末が、社会に大きな衝撃を与え、人々の価値観を根底から揺さぶる論議を巻き起こしたことは、あまりにも有名です。近代資本主義が劇的な成長を遂げ、人々が競って「新しさ」を求めた時代にあっても、この結末は、到底容認できない「大事件」でした。社会はまだまだ宗教的な因習や道徳倫理に縛られ、急速な経済成長との矛盾や欺瞞に満ちていたのです。 この衝撃と論争の世界的広がりは、明治維新以降、急速な欧化政策による歪みを抱えていた日本にも、20世紀初頭に波及。1911年(明治44年)の初演(演出:島村抱月、主演:松井須磨子)は、ヨーロッパと同様に社会現象となり、その後の日本人の社会思想や精神史に計り知れない影響を及ぼしました。この戯曲が紹介された各国では、それぞれの文化や国情を背景にした『ノラ論議』が盛んに行われ、すでに発表から130年近くも経過した現在に至るまで、ヒロイン「ノラ」と『人形の家』は、フェミニズム運動の象徴のような印象を与え続けてきました。もちろん、社会や家族制度における男性優位主義へのイプセンの鋭い視点が、『人形の家』に象徴的な役割を与えたのは事実です。しかし、生前のイプセンが、『問題を論じたつもりはなく、人間そのものを描いただけ』と語っているように、この戯曲には、ノラとトルヴァル夫妻だけでなく、様々な矛盾をはらんだ生身の人間が交錯しながら生きています。もしかしたら、女性の社会進出が常識となり、離婚でさえ珍しくなくなった現代だからこそ、また、結婚率の低下で家族単位の概念も変化しつつある現代だからこそ、作品への形容詞に左右されることなく、イプセンが描く『人間模様』に真っ直ぐに目が向くのかもしれません。 今回、私たちシス・カンパニーは、この戯曲がもつ命題と真髄に迫るべく、ノラとトルヴァル夫妻に、宮沢りえ、堤真一、 そして演出には、世界的な人気演出家:デヴィッド・ルヴォーを配し、山崎一、千葉哲也、神野三鈴、松浦佐知子、明星真由美 を加えた無敵のカンパニーと共に、この"歴史的問題作”への挑戦に乗り出すことになりました。 この上演では、 アイルランド人作家:フランク・マクギネスによる英語版から、 徐賀世子(「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない?」で湯浅芳子賞を受賞)が新訳を施し、この戯曲が本来もつ、「リアルで緊密なダイアローグと空気感」を探求。そのスリリングに展開する台詞の応酬によって語られる『登場人物の肉声』を通して、従来のフェミニズム的な論点だけではない、『人間の真実の姿』を追求していきます。 また、劇場中央には四方囲みのステージを設置。あたかもそれが、『真実を暴く法廷』であるかのように、観客は、ここで繰り広げられるサスペンスフルな人間関係や駆け引き、徐々に剥き出しになる夫婦の感情の動きを全方位から目撃することになります。もしかしたら、自分がその法廷に立たされるかのような錯覚を覚えるかもしれません。 さて、90年代初頭より日本の演劇界に深く関わり、常に日本のカルチャーシーンに影響を与えて続けてきた英国人演出家:デヴィッド・ルヴォーにとって、本作品は、『ナイン THE MUSICAL』以来3年ぶりの日本での演出になります。長年、tptを活動基盤として、その精緻な戯曲分析と人間心理への深い洞察で、多くの傑作舞台を発信してきた彼は、近年はストレート・プレイのみならず、ブロードウェイ・ミュージカルも含めた幅広い作品を演出。その動向は、ロンドン・ウェストエンド、ニューヨーク・ブロードウェイに止まらず、常に世界中のメディアから熱い注目を浴びています。 これまで、『エリーダ〜海の夫人』、『ヘッダ・ガブラー』のイプセン作品を演出しているルヴォ-ですが、 意外なことに、『人形の家』演出を手がけるのは、この日本での上演が初めてです。 彼自身、「久々の日本で、しかも魅力的な劇場空間で、そして、何よりもこの顔ぶれだからこそ、初めての『人形の家』に取り組む決心がついた。」と語っています。 デヴィッド・ルヴォーが、魅力溢れるキャスト陣と共に、どのような斬新かつ精緻な考察を加え、この作品に21世紀ならではの生命を吹き込むのか・・・。 この上演は、世界中の演劇ファンの羨望を集める、まさに"劇的な瞬間"なのです! 是非ご注目ください!! ☆イプセン・ネット ☆イプセン・ワールドワイド
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