シス・カンパニー公演 楽屋 | |
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《公演概要》 |
驚きのキャスティングと演出家との斬新な顔合わせで、古典から近現代に至るまでの時代やジャンルを問わず、名作戯曲に新たな光を当ててきたシス・カンパニーが、いよいよ劇作家・清水 邦夫の傑作に挑みます!
劇作家・清水邦夫は、1960年代〜70年代、その闊達な筆致で、全共闘世代の心情や時代的側面を色濃く感じさせる作品を次々と発表し、演劇界のみならず、当時の若者たちを熱狂させてきた現代を代表する劇作家です。現在も活発な活躍を続けていますが、特に最近では、彼の盟友・蜷川幸雄が清水作品『タンゴ・冬の終わりに』『わが魂は輝く水なり』など、過去の作品に次々と取り組み、その演劇的なダイナミズムと瑞々しく詩的な美しさをたたえたセリフの数々で、新たな信奉者を獲得し続けています。 今回私たちが取り上げる『楽屋』は、'77年に発表された4人の女優たちを主人公にした作品で、男優陣メインの前述の作品群とは異なる趣をもった小劇場的な親密な空気を漂わせた作品ですが、4人の女優たちの舞台裏での生々しい応酬やモノローグで全編を貫かれた、魅力あふれる人間たちの物語なのです。 清水邦夫は、この作品執筆のきっかけは、ある劇場で楽屋の壁にくっきりと残るアイロンの焦げ跡を見たときに、そこにかつて居た者たちの想念を感じとったことだと、初演の際に記述しています。 確かに、演劇に携わる人間たちはよく、『楽屋には何かが棲んでいる』と口にすることがあります。そして、『世の中には、男と女以外に、女優という生き物が存在するのだ』と頷き合ったりもします。そんな演劇人の裏話的なモチーフが、この作品では、<表舞台=ステージ>と<舞台裏=楽屋>、<主演女優>と<プロンプター>、<芝居のセリフ=虚構の世界>と<現実の言葉>、そして、<生者>と<死者>という二項対比の構造に巧みに生かされ、女優という生き物がもつ凄まじいまでの業に、作者・清水邦夫が、辛辣かつ滑稽、そして、愛しさと哀切に満ちた眼差しを注ぎ、女たちの微細な心のひだや、縫い合わせても血が滲み出るような心の傷口をも浮き彫りにしているのです。 そして、強烈なスポットライトの下で優雅に微笑む女優たちの裏側を、軽やかなタッチで描きながら、その実、人間の存在意義にも深い洞察を示しています。 この人間の業が渦巻く「楽屋」に棲み付いた4人の女優たちの生態を演じるのは、現代の演劇・映像の両分野でトップシーンを直走る 小泉 今日子 蒼井 優 村岡 希美 渡辺 えり の4人。 あまり幸せではないキャリアにしがみつく女優二人に、小泉 今日子 と 渡辺 えり。 40歳を過ぎて「かもめ」の主役ニーナに賭ける主演女優に、村岡 希美。 そして、主演女優の元プロンプターに、蒼井 優。 彼女たちの役柄は、その立場や世代に大きな差はありながらも、それぞれが「女優」という自己の存在意義を、その心身に深く刻みこんだ女性たちです。そんな彼女たちが発するセリフの数々には、随所に古典戯曲「かもめ」「三人姉妹」「マクベス」などの名セリフが散りばめられ、清水戯曲特有の、リアルな情景を描きながらも詩的なリズムと哀しみをたたえた美しいセリフと共に、瑞々しく魅力的なきらめき発しています。 この4人の女優たちの絶妙な顔合わせによって、これらの「言葉」がどのような響きを200席ほどの小劇場空間に放つのか、演劇ファンならずとも期待は膨らみます。 そして、演出には、近年、舞台演出にも情熱を傾けている 生瀬 勝久 を迎えました。自身も俳優であり、劇団座長時代から様々な女優陣と対峙してきたであろう充実したキャリアを誇る彼が、「女優に扮する女優たち」に、どのような視点から挑んでいくのかも注目のポイントと言えるでしょう。 この強力な布陣で、リアリズムとリリシズムが独特の輝きを放つ傑作戯曲の醍醐味を、より鮮やかに、より高いエンタテインメント性をもって、観客の皆様にお届けするシス・カンパニー公演「楽屋」。 2009年初夏、シアタートラムで繰り広げられる現代最強の4人の女優たちのバックステージ模様に、 是非ご注目ください! |
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