大学教授を引退したセレブリャコーフ(山崎一)は、都会暮らしに別れを告げ、若い後妻エレーナ(宮沢りえ)と共に、 先妻の親から受け継いだ田舎屋敷に戻ってきた。先妻の兄であるワーニャ(段田安則)は、学者であるセレブリャコーフ を長年崇拝し、彼の支えとなるために、25年にも渡って領地を切り盛りしながら、教授と先妻との娘ソーニャ(黒木華)、 母ヴォイニーツカヤ夫人(立石涼子)、隣人であった没落貴族テレーギン(小野武彦)と共につましく暮らしてきた。
長年、尊敬するセレブリャコーフに尽くすことに疑いを抱いたことのなかったワーニャだったが、毎日共に暮らすようになった目の前の人物は、いつも体調も機嫌も悪く、尊大で身勝手な態度で人を困らせるただの年寄り・・・。
また、その妻エレーナも、夫への不満と年の近い義理の娘との折り合いの悪さも手伝い、田舎暮らしの中、このまま 若さも可能性も失われていく不安に憂鬱な日々を送っている。この夫妻が都会から屋敷に戻ってからというもの、 人々の田舎暮らしのリズムは一変。屋敷には常に重苦しい空気が立ち込めるようになっていた。何よりもワーニャは、 人生の大半を捧げきた相手が、単なる俗物だった事実に虚しさと絶望を感じ、勤勉だった彼の生活は激変してしまう。今度は、事ある毎に、セレブリャコーフに毒づき、母たちにたしなめられるが、その憤りは収まることを知らない・・・。
この屋敷に集まる人物の中に、近隣で、唯一の医師として多忙を極めるアーストロフ(横田栄司)がいた。彼は貧しい 農民への医療に従事する傍ら、森林の環境保護を訴える活動家として、地域への献身を続けてきた。しかし、やはり 田舎暮らしに鬱積した思いを抱き、診療を放り出して屋敷に入り浸り、ワーニャと酒を酌み交わすことも多々。
そんな鬱屈した思いから、エレーナに対し熱い思いを抱いている。そして、これまでの長年の献身に絶望している ワーニャも同じく、エレーナに思いを募らせ言い寄るが、エレーナに相手にされるはずもない。
そして、一方、エレーナに恋心を抱くアーストロフを、ソーニャの熱い眼差しが追いかけるのだが、相手にもされない。 それぞれの恋のベクトルは、決して互いを向き合うことなくすれ違い、それぞれの虚しい恋心だけが募っていく・・・。
古い屋敷に立ち込めるのは、失った過去への後悔と未来への言い知れぬ不安。人々はどこへ向かうのか・・・。
そんな中、元教授セレブリャコーフが皆に告げたある考えに、ついにワーニャは激昂し、そして・・・。
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