シス・カンパニー公演 令嬢ジュリー/死の舞踏 | |
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本公演は、2017年4月1日(土)に千秋楽の幕を下ろしました。 |
イプセンと共に、近代演劇の先駆者と称されてきたスウェーデンの劇作家:ヨハン・アウグスト・ストリンドベリ。
彼の主な作品は、19世紀後期から20世紀初頭の時代の空気感をリアルに漂わせ、一貫した自然主義+写実主義的手法で、当時の男女間の葛藤や階級社会の不平等がもたらす閉塞感、宗教問題や権威主義による弊害を描き出してきました。 その活動後期には、本人の精神状態も反映してか、狂気さえはらんだ神秘主義的な作品も多くなり、当時、常に多くのセンセーションを巻き起こしていた作家と言われています。 彼の作品の何が刺激的で、何が全世界の人々を魅了し続けてきたのか・・・。 それは、時に扇情的とも背徳的とも言われる主題がもたらすインパクトだけではなく、そこに提示された問題の多くが、没後100年余りが経過した現代の私たちが、日々直面している人間関係や社会のリアルな問題そのもの、、、と身近に感じさせるからかもしれません。 この度、私たちシス・カンパニーでは、劇作家:ストリンドベリの代表作2作品に挑むことになりました。 その2作とは人間心理や行動描写が秀逸な代表作「令嬢ジュリー」と、後期の神秘主義的な呪術的な世界観も感じられる時期の作品「死の舞踏」の2大傑作!演出には、シス・カンパニー公演でも数々の話題作を手がけてきた気鋭の演出家:小川絵梨子を迎えます。 小川絵梨子にとって、初めてのシアターコクーンへのアプローチとなる本公演には、もう ひとつの驚きが・・・! シアターコクーン内に、それぞれ通例の舞台仕様とは異なった、二つの小劇場を特設。そこで、連日2作品の交互上演を敢行するという画期的なプロジェクトが進行中です。 そんなシス・カンパニーの新たな挑戦に、共に乗り出すに相応しいキャスト陣が集結いたしました。 まず、『令嬢ジュリー』に登場するのは、小野ゆり子、城田 優、伊勢佳世 のフレッシュな顔ぶれ。 数々のドラマ、舞台で、多くの演出家からその実力を広く認知されている 小野ゆり子 が、高慢な奔放さとガラス細工のような繊細さを併せ持つ ジュリーを演じます。また、公演決定情報の発表以来、大きな話題を集めているのが、日本のミュージカル界を牽引する存在であり、2016年の読売演劇大賞優秀男優賞にも輝く 城田 優 が、いよいよ本格的なストレートプレイに取り組むことです。階級制度に甘んじながらも屈折した野心を内に秘めた男ジャンに、どのようなアプローチで向き合うのか・・・。城田の天性とも言うべきダイナミズムと小川演出の融合が、新たな劇空間にどのような風を吹き込むのか、期待は高まります。そして、ジュリーの対極にあり、この時代の倫理感を投影した料理女クリスティン役を、 長年活躍してきた「イキウメ」退団後、最近では、ドラマ「校閲ガール」やCMでも活躍中の 伊勢佳世 が演じます。 一方、ストリンドベリ後期を代表する『死の舞踏』では、池田成志、神野三鈴 のベテラン二人が、「小さな孤島」を舞台に、 まるで地獄絵図のような罵り合いを繰り広げながらも別れない夫婦エドガーとアリスとして登場。そこに、久々にアメリカから戻ってきた、夫婦との因縁も深いアリスの従兄弟クルト役として、大人気の演劇ユニットTEAM NACS から 音尾琢真 が参戦します! 会話劇とはいえ、まるでボクシングのリンクが現れたのかと見紛うほど、壮絶な闘いを繰り広げる3人の戦士、いや、役者たち!そのエネルギーは想像しただけでも、手に汗を握るような思いがします。 錚々たる演出家たちを唸らせ、演劇界を縦横無尽に駆け抜けてきた池田成志、聖母のような微笑に強靭でしなやかな精神を宿す 神野三鈴、そして、昨今、硬軟さまざまな役柄を演じ注目の音尾琢真 が創り出す、どこかダークな笑いにも彩られた不可思議な世界は必見です。 若い男女の官能的な愛と欲望がもたらすスリリングな心理劇『令嬢ジュリー』と、熟年男女の激しい愛憎の応酬をシニカルなタッチで描いた『死の舞踏』。 全く異なる空間で展開する全く別の作品でありながら、「愛欲と愛憎」それぞれの残像や波動が、不思議なシンクロニシティを生み出し、シアターコクーン全体を包み込む・・・。 是非、二つの世界を味わい、演劇の醍醐味を堪能いただきたいと願っています。 |
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ご存知の方も多いと思いますが、当初、「死の舞踏」のエドガー役は、2016年10月末に急逝された平幹二朗さんが出演予定でした。 すでに写真撮影 も終了し、稽古開始に先がけて本読みも始めようと準備も着々と進んでいた中での急逝の報に、演出の小川絵梨子をはじめ、私たちも茫然としてしまいましたが、演劇界の名だたる演出家たちを唸らせてきた名優・池田成志の出演決定を機に、新たな<チーム・ストリンドベリ>が誕生。2作品1チームとして一丸となり、平幹二朗さんが魂を傾けてきた「演劇」に真摯 に向き合う所存です。そして、創作の喜びに満ち、観客の皆様にも刺激的な<ストリンドベリ連日交互上演プロジェクト> をお届けしたいと思っています。 是非、ご期待ください。 | ||
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