Introductionイントロダクション
「ベッドから出たくない…」
ある朝、ヴィクトリアは呟いた。
そして、彼女はとめどなく語り続ける。
その独白が導くのは色あせた夢への執着なのか、
真実への旅路なのか。現実なのか、空想なのか。
演劇人としても名高い映画界の巨匠イングマール・ベルイマン。
本作は、当初、ベルイマンが映画用の脚本として書き下ろしながら、
後に、ラジオドラマとして発表した異色の一人芝居である。
ベルイマンが執拗なほどに追求した主人公ヴィクトリアの魂の独白が、
今、大竹しのぶと気鋭の演出家・藤田俊太郎の手に委ねられた!
Staffスタッフ
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<作>イングマール・ベルイマン
Ingmar Bergmanイングマール・ベルイマン
Ingmar Bergmanある人生の風景
1918年、スウェーデン中部の都市ウプサラ市の保守的なルーテル派の牧師とその妻のもとに誕生。
ベルイマンの幼少期は、厳しいものだった。兄や妹とともに厳しい躾を受け、それが空想の世界に癒しとインスピレーションを求める傾向を助長したのかもしれない。
彼は幼いころから、想像力がもつ力というものを意識しており、17世紀に発明されたタイプの幻灯機を手に入れたことで、新たな方法で自分の環境を探求することができるようになった。ベルイマンの人生の道筋はここで決まったと言える。
幾度かナチズムに興味を抱きつつも、ベルイマンはストックホルム大学に入学。文学、美術史学科に在籍。大学時代は、映画、演劇、恋愛といった自分の興味のあることに没頭し、いくつかの戯曲を執筆した。卒業後は、演出家見習いとして、ストックホルムの劇場に参加。その後20年間に渡り、ヘルシンボリ市立劇場(1943~1946)、ゴッテンブルク市立劇場(1946~1949)、マルメ市立劇場(1953~1970)、最終的にはストックホルム王立劇場(1960~1966)で、演劇キャリアを追求した。
演劇界で活躍する一方で、ベルイマンは映画界でもそのキャリアを確立。
主にゴットランド島の北にあるフォーレ島に拠点を置き、1940年代初頭から映画脚本を書き始め、5年以内に監督に転向。そして、それから10年のうちに『夏の夜は三たび微笑む』(1955年)で世界的な成功を収めた。その後『第七の封印』『野いちご』と続く。以後数十年にわたり、宗教的信仰を扱った三部作や、代表作『ペルソナ』『処女の泉』『秋のソナタ』、テレビ映画『ある結婚の風景』などの作品を監督。20世紀で最も影響力のある映画監督の一人となった。
1976年、脱税の容疑で告発され、その後、無実が証明されたのだが、スウェーデンに対する怒りから、スウェーデンで進行中だったすべてのプロジェクトを中止。フォーレ島のスタジオを閉鎖してドイツに移り、1980年代半ばまでドイツに居住した。
その間(1977年~1984年)に、ミュンヘンのレジデンツ劇場の演出家を務めた。
ベルイマンは5回結婚し、娘をもうけたリブ・ウルマンを含む3人の主演女優と恋愛関係にあった。最も長かったのはイングリッド・フォン・ローゼンで、結婚した1971年から彼女が胃がんで他界した1995年まで共に過ごした。
ベルイマンは晩年をスウェーデンで過ごし、2003年に映画製作から引退。様々な健康問題に悩まされていたという。2007年、イタリアの映画監督ミケランジェロ・アントニオーニが亡くなった全く同じ日に、フォーレ島の自宅で眠るように息を引き取った。
(ベルイマン財団提供資料より翻訳) -
<演出>藤田俊太郎
藤田俊太郎
Shuntaro Fujita
1980年、秋田県生まれ。演出家。
東京藝術大学美術学部先端芸術表現科に在学中の2004年、ニナガワ・スタジオに入る。2005年から2015年まで蜷川幸雄作品に演出助手として携わる。
2011年、『喜劇一幕・虹艶聖夜』で作・演出を手掛け、2012年、彩の国さいたま芸術劇場さいたまネクスト・シアター『ザ・ファクトリー2(話してくれ、雨のように……)』の演出も担当。2014年『ザ・ビューティフル・ゲーム』にてミュージカル初演出。以降、多くの演出作が高い評価を受けている。
2019年1月、ロンドン・チャリングクロス劇場にてミュージカル『VIOLET』を上演。
英国での演出家デビューを果たし、
同作は、2020年に日本人キャストにて日本でも上演された。
【近年の主な演出作品】
2017年より毎年『ラヴ・レターズ』演出
2020年
『絢爛豪華祝祭音楽劇「天保十二年のシェイクスピア」』、『VIOLET』、『NINE』演出
2020年演出作にて、第28回読売演劇大賞 最優秀演出家賞受賞(2021)
第42回松尾芸能賞優秀賞(2021) 受賞
2021年
『東京ゴッドファーザーズ』演出
2022年
『ミネオラ・ツインズ〜六場、四つの夢(最低)六つのウィッグからなるコメディ〜』
『ミュージカル手紙2022』、『ジャージー・ボーイズ』演出
2023年
『ラビット・ホール』、『Sound Theater 2023』演出
翻訳・・・・・・・・・肥田光久
美術・・・・・・・・・松井るみ
照明・・・・・・・・・日下靖順
衣装・・・・・・・・・前田文子
ステージング・・・・・小野寺修二
音響・・・・・・・・・加藤温
ヘアメイク・・・・・・佐藤裕子
舞台監督・・・・・・・福澤諭志
プロデューサー・・・・北村明子
Castキャスト
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大竹しのぶ
大竹しのぶ
Shinobu Otake
1957年、東京都生まれ。
1974年、一般公募に合格し、ドラマに初出演。
その後、1975年、映画「青春の門 -筑豊編-」で本格的デビューを果たす。
同年、NHK朝の連続ドラマ小説「水色の時」にヒロイン役で出演。
一躍、国民的な人気を集める。以降、映画、舞台、TVドラマ等ジャンルを超えて、その才能を発揮。
注目作に相次いで出演し、音楽活動も積極的に展開中。
その圧倒的な表現力と存在感は常に注目を集め、世代を超えて支持され続けている。
主要な演劇賞、映画賞など受賞歴も数多く、誰もが認める名実ともに日本を代表する女優である。
2021年には、東京オリンピック閉会式に出演し、大きな話題を集めた。
【近年の主な出演作品】
2021年
『フェードル』(栗山民也演出)
『夜への長い旅路』(フィリップ・ブリーン演出)
『ザ・ドクター』(栗山民也演出)
『漁港の肉子ちゃん』(劇場アニメ 声の出演)
2022年
『ピアフ』(栗山民也演出)
『女の一生』(段田安則演出)
『PICU 小児集中治療室』(フジテレビ)
2023年
『GYPSY』(クリストファー・ラスコム演出)
『犬神家の一族』(NHK)
2023年9月予定『ふるあめりかに袖はぬらさじ』(齋藤雅文演出)
2024年3月予定『スウィーニー・トッド』(宮本亞門演出)
Movies動画
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公演ダイジェスト
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衣装合わせ
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稽古初日
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取材の様子
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インタビュー
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ヴィジュアル撮影風景
企画・製作:シス・カンパニー
<お問い合わせ>
シス・カンパニー
TEL:03-5423-5906
(平日11:00~19:00)